映画「ライオンキング」解説(ネタバレ)優れた演出

ディズニー作品

初めまして

ディズニー作品が好きな方であればライオンキングを知っている人は多いと思います、数あるディズニー作品の中でも特によくできた名作の一つですよね

なぜライオンキングがここまで面白いのか、あるいは評価されヒットしたのか、気になった方もいるのではないのでしょうか

しかし本やネットなどにはそれを詳しく解説してあるものは少ないのが現状です、そこでなぜこの作品が優れているのかを一人でも多くの方に理解してもらいたいと思いこの記事を書きました

ライオンキングは実は演出が非常によくできた作品なのですが演出の上手さは何となく見ていても分かりずらいものです、そこで今回は本作の演出について具体的なシーンを取り上げながら三つのパートに分けて解説していきたいと思います

この記事を読めばライオンキングの細かい演出について人に説明できるくらい詳しくなれると思います

ライオンキング‐wikipedia

以下ネタバレありです

ライオンキングのオープニングはなぜ素晴らしいか

まず最初のパートではオープニングの演出について三つのポイントに分けて解説したいと思います

日の出から始まるわけ

まず始めは日の出のシーンから始まる理由についてです、あの朝陽が昇るとともに印象的な歌声から始まる場面ですね、これには二つの意味があると思われます、一つは映画が始まったことを表現していること、もう一つはシンバが生まれたことのメタファーであることです

実は太陽はシンバと深い関わりがありますこれについては別の記事に詳しく書いたので興味のある方はご覧ください

ライオンキング解説 王たちを象徴する天体について

ザズーの浮遊感

次に二つ目の解説をしていきます、二つ目はザズーが飛んでるシーンについてです

このシーンは異常なほど浮遊感があります、それはなぜかというとよく見るとザズーが飛んでいる間ずっと画面に映っているムファサのたてがみが風でなびいています、しかしザズーが着地すると同時に風がおさまります

これにより目には見えない風がふいていることが分かりザズーが風を受けて飛んでいることが強調されることで浮遊感が伝わるようになっています

このように細かい演出で飛んでいるザズーの浮遊感を表現しています

動物たちの進む方向

最後に三つ目のポイントについて解説しましょうそれは動物たちの進む方向についてです

先ほど伝えたようにライオンキングは日の出のシーンから始まるわけですがその後さまざまな動物たちが太陽のほうに向かって進んでいきその先のライオンたちがいるプライドロックに集まるという流れになっています

実はこのシーンの動物たちの進む方向についてをよく見るとほとんどの動物たちが画面の右向きに進んでいるのです、しかし一か所だけ動物が左向きに進む場面があります、それがヒヒのラフィキに抱えられたシンバが岩場の先端まで運ばれるシーンです

ラフィキがプライドロックに来るときは右向き進んでいます、つまり唯一シンバだけ左向きに進んでいるのです、この演出の意図としてはシンバがほかの動物とは違う特別な存在であることを強調していると思われます

このようにオープニングのシーンでは様々な演出が施されておりそれらによって非常に完成度の高いものとなっております

スカーの演出のこだわり

次に本作の悪役スカーの演出について解説していきたいと思います

ライオンキングには様々なキャラクターが登場しますがその中でも特にスカーは演出に強いこだわりが見受けられるのでそのことについて四つのポイントに分けて詳しく説明していきます

ザズーとムファサの目線の使い分け

一つ目のポイントは序盤のスカーがザズーとムファサの二人と会話するシーンです、このシーンでは会話する相手によってスカーの見え方が変わるように工夫されています

どういう事かというとこのシーンでザズーは基本地面に降りているのですがスカーと話しているとき画面全体がザズーの目線になります、それによりスカーが上から見下ろすような構図になりとても恐ろしく威圧的に見えるようになっています

一方でムファサと話すシーンでは全く逆に見えます、この場面ではスカーが会話の途中で話し相手をザズーからムファサに急に変えるところが二回ほどあるのですがこの瞬間にザズーの目線ではなくムファサの目線にシフトします、それによりそれまで大きく見えていたスカーが急に小さく見えまた表情も怯えているような顔になるため一気に弱々しく見えるようになっています

これらの演出により弱い相手には強気に強い相手には下手に出るというスカーの特性と性格の悪さが表現されているのです

影が差す

次のポイントは影の表現についてです、スカーは誰かを貶める時基本的には自らは手を汚さず相手を罠にはめて別の誰かに始末してもらいます、そのスカーの策略が蠢くとき影が差す演出がよく入ります

それらの中でも特に印象的なシーンを紹介しましょう、それはシンバを像の墓場に誘い込む場面です

知っての通り像の墓場はプライドランドの外にあるハイエナたちの国でムファサがシンバに絶対に行ってはいけないと釘を刺した場所でもあります、スカーとしては好奇心旺盛なシンバをそこに誘い込みハイエナたちに始末してもらおうとしたわけですね

この場面はシンバがスカーの所に遊びに来るところから始まります、ですが遊びに来られたスカーはシンバの顔を見るなりあからさまに不機嫌そうな顔をします(元から不機嫌そうな顔ではありますが)しかしある場面で表情が急に笑顔に変わります、それが像の墓場の話を始める場面です、さらに像の墓場が見える岩陰まで移動するのですがここでスカーについていったシンバの体が影に覆われます、これはシンバがスカーの罠にはまりつつあるという表現であると思われます

このようにスカーの策略にはまるシーンでは影に覆われる演出が何度か登場します、皆さんも次にご覧になる時には注意して見てみてください

シンバを引き離す

三つ目のポイントはスカーの冷酷さが表現されたシーンについてです、それはムファサの亡骸にシンバが寄り添う場面で表されます

このシーンでは最初スカーはまるで慰めるようにシンバに優しく語り掛けます、そしてシンバを自らのもとに抱き寄せようとしシンバもそれに応じてスカーに抱き着こうとします、しかしその直後シンバから手を放します、つまりシンバをムファサから引き離しているだけなのです

そして冷たい言葉を投げかけます「だがな王は死んだ。お前の命と引き換えに死んだ。」と、この瞬間にシンバは頼れる相手を失いすべての責任を突き付けられます、要するにスカーはシンバをかばうふりをして徹底的に追い詰めています

このシーンの演出によりスカーの冷酷さがより強調されていると分かっていただけたかと思います

スカーの絶望

最後にスカー位置関係についてです、先ほどの解説でスカーは強い相手を前にすると弱々しく見える演出があると紹介しましたが終盤のあるシーンでもそのことを強調している場面があったので解説したいと思います

そのシーンとは追い詰められたスカーがシンバに命乞いをするシーンです、この場面でスカーは殺されることはないと知り安心して「償いは必ずする、何なりと言ってくれ」とシンバに言います、しかしそれに対してシンバは「行け、逃げろスカー、そして二度と戻るな。」と言い放ちます、ここは序盤でシンバがスカー言われたことを言い返す良くできた復讐の場面ですが良くできているのはセリフだけではありません

このスカーに追放を言い渡すシーンでお互いの顔がアップになりスカーがシンバを見上げているのですがこの見上げる角度が実際の位置関係より高く見上げているように見えるのです、これによりシンバの強さやスカーの絶望がより強調されているのです

以上四つのポイントに分けてスカーの演出のこだわりについて解説しました

対照的なシークエンス

最後のパートでは対照的なシークエンスについて解説していきたいと思います

シークエンスとはいくつかのシーンが集まってつながった場面のことです、ライオンキングではシークエンスが切り替わる時前のシークエンスとは対照的な場面になることが多いのです、それについて詳しく説明しましょう

シークエンスの一覧

それでは対照的なシークエンスを一覧にまとめてみましょう

  1. 太陽の光の下に大勢の動物たちが集う暗い洞窟に一匹のネズミ
  2. ムファサとシンバが星空を見上げる地の底にハイエナ達が集う
  3. 月の下で王になるスカー太陽の下で孤独になるシンバ
  4. 豊かな森で楽しく歌うシンバ達荒廃した地で悲しく歌うザズー
  5. 空腹で文句を言うハイエナたち満腹で幸せそうなシンバ達 など

このようにライオンキングではあるシークエンスから別のシークエンスに切り替わる時対照的になるように徹底しています、このような構造にしている狙いですがやはりそれぞれの場面を強調するためだと思われます

以上で対照的なシークエンスの解説を終わります

まとめ

今回はライオンキングの演出がいかに優れているかについて解説していきました

最後まで読んでいただきありがとうございます

よろしければ別の記事も読んでいただけると幸いです

それではまた

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