「クローバーフィールド」ネタバレ解説 本当の意味でのハリウッド版ゴジラ

クローバーフィールドシリーズ

初めまして

今回は『クローバーフィールド』についてネタバレありで解説していきたいと思います、この記事を読めばこの作品が本当に描きたかった事が何なのかや監督の本音などが分かるようになっています

今回は解説するにあたって3つの階層に分けてこの映画を見ていきたいと思います、なぜならそうする事によってこの作品の核心部分が見えやすいからです

またこの記事はあらすじや制作秘話などを解説するものではありませんのでご注意ください

それでは早速解説を始めたいと思います、以下ネタバレありです

3つの階層

先ほども説明したようにこの映画を掘り下げてみると3つの階層に分けることができます、まずはそれぞれの階層を紹介しましょう

  • 階層1:表層的なストーリー(若者達に起きた悲劇)
  • 階層2:作品のテーマ(テロや戦争のメタファー)
  • 階層3:監督の本音(全ては自業自得)

それでは一つずつ解説したいと思います

階層1 若者達に起きた悲劇

初めに階層1の若者達の身に起きた悲劇について書いていきたいと思います、より具体的に言うとこの映画の最も表層にあるストーリーの部分について解説していきます、その説明をするためにまずこの作品がどんなジャンルなのかを紹介していきたいと思います

『クローバーフィールド』はPОⅤモキュメンタリーという手法が使われています、PОⅤは「Point Of View」の略で撮影しているカメラマンも登場人物の一人でその人物の主観映像で物語が進むという手法です、またモキュメンタリーとは簡単に言えば架空の出来事をドキュメンタリーの様に伝える表現方法です

この映画では冒頭で「これは国防総省が保管している記録映像である」という説明から始まり、映像の内容は若い男女が突如町に現れた怪獣の攻撃の巻き込まれる様子をホームビデオで記録した疑似的なドキュメンタリー映像のような造りになっています

この作品のストーリーを簡単にまとめると、東京での就職が決まったロブをパーティーで祝っているさなか突如ニューヨークに謎の怪獣が襲来します、その後町から避難していると関係が悪くなっていた恋人ベスから助けを求める電話がかかった事でロブは彼女を救うために町の中心部へ向かいます、そしてベスとは再会を果たすが結局町からの脱出は叶わず最後は軍の空爆に巻き込まれて二人とも死んでしまうという話です

そしてこの映画は主人公ロブが恋人のベスとデートした時の映像に間違えて上書きして撮った映像という設定になっています、つまりこのお話は関係が壊れかけていた男女が再びよりを戻すが結局二人とも亡くなってしまうというお話に二人が幸せだった時の映像を重ね合わせることで物語の悲劇性を強調する造りになっています

またある人物たちの関係が崩れそうな時二人の間を引き裂く出来事が起こることで二人は会えなくなるが絆は深まるという物語は監督のマット・リーブスが『猿の惑星 シリーズ』などほかの作品でも一貫して描いてるテーマかと思います

以上が階層1の若者達の身に起きた悲劇というストーリーに関する解説でした

階層2 テロや戦争のメタファー

次は階層2のテロや戦争のメタファーについて解説していきます、この映画は様々な所で言及されていますが9.11を意識した造りになっています、舞台が同じニューヨークである事やある日突然町が破壊される様子をドキュメンタリー映像として見せている事などがその根拠です

ではなぜあえて9.11を連想させる構成にしたのでしょうか?それはこの作品のもう一つの元ネタ知ることで理解できます、そのもう一つの元ネタとは『ゴジラ』です

ゴジラをオマージュしている部分を紹介すると例えば映画冒頭でバッド・ロボット・プロダクションズのロゴが現れる場面で怪獣の足音らしきものが聞こえますがこれは一作目『ゴジラ』でも同じ演出が使われていますし、ほかにもエンドクレジットで流れる音楽も明らかに伊福部昭を意識しています

昔から日本では怪獣を戦争のメタファーとして扱ってきた作品がたくさん作られてきました、その最たる例がゴジラでしょう、そして一作目の『ゴジラ』は戦後間もない1954年に公開されており当時の観客にはまだ戦争への恐怖感が残っており映画を見た人々は強い衝撃を受けたといわれています、おそらく『クローバーフィールド』も同様の効果を狙った作品だと思われます

また当時ゴジラは一度ハリウッド版が作られたことがありましたがこれはかなり評判が悪く少なくとも批評的には失敗作という扱いを受けていました、もしかしたら『クローバーフィールド』はそのリベンジだったのかもしれません、この映画はアメリカ人だからこそ描ける戦争やテロをテーマにした怪獣映画つまり本当の意味でのハリウッド版ゴジラだったのでしょう

以上で階層2のテロや戦争のメタファーについての解説を終わります

階層3 全ては自業自得な話

最後に階層3の全ては自業自得な話について解説していきます、ここでは監督のマット・リーブスの本音を暴いていきたいと思います

実はこの映画には往年のモンスター映画の画像を隠されたサブリミナルとして挿入しています、そのモンスター映画とは『放射能Ⅹ』(1954年)、『原子怪獣現る』(1953年)、『キングコング』(1933年)、の三つです、これらは作中で何度かある映像が過去に録画されたロブとベスのデートの映像に切り替わる瞬間に登場します

この三つの映画に登場する怪獣には共通点があります、それはこれらの作品に登場する怪獣は人間側の起こした行為が原因で人々を襲いに来ているという事です、そしてそれは先ほど紹介した1954年公開のゴジラも同様です、なのでこの映画がオマージュしている怪獣映画は全て怪獣側も被害者であるという話になっているのです

また公式設定で『クローバーフィールド』の怪獣はまだ子供で母親を探して町で暴れているらしいです、なぜ母親とはぐれてしまったのかは明確には説明されていませんがこれも人間側が原因の可能性があります

ですのでこの映画でサブリミナルが使われている理由はおそらく怪獣側も被害者である事と怪獣が町で暴れている原因は実は人間にあるという事を潜在意識に働きかけるためだと思われます

というわけでまずは作中での怪獣の描写から監督の意図を紐解いていきました、次は人間側の描写を分析していきたいと思います

この映画の登場人物たちはよくよく見るとおそらく皆家が金持ちの若者たちです、また好感が持てるようなキャラクターもほとんどいません、普通ならもっと共感できるキャラクターを出した方がより悲劇性が増すのですがおそらく監督はあえてそうしていません、その理由はストーリーを振り返ると見えてきます

『クローバーフィールド』は主人公ロブが恋人のベスを救いに行く話ですがそもそもこうなったのはロブがベスと喧嘩したためです、また二人の仲が悪くなりだした原因もロブにありそうです、その上ほぼ全員が死んでしまいベスを救う事もできませんでした

『クローバーフィールド』に観客が共感できるキャラクターがいないのはおそらく監督はこの物語を悲劇ではなく単なる自滅として描いているからだと思われます、また先ほども紹介したように怪獣が暴れている原因は人間側にある可能性があります、ですので自滅しているのは登場人物達だけではなく人類全員も同様だと思われます

つまりこれが監督の本音だと思われます、ようは一見悲劇に見える事も結局は自分達で招いているという事です、またマット・リーブスは『モールス』や『猿の惑星 シリーズ』など他にも人間と非人間が登場する作品を作っていますが基本的には人間側は自滅していきます、もしかしたら彼は人間不信なのかもしれませんね

以上が階層3全ては自業自得な話についての解説でした

まとめ

今回は映画『クローバーフィールド』について解説しました

この映画の狙いや監督の本音などが分かって頂けたかと思います

最後まで記事を読んでいただいてありがとうございます

よければ別の記事も読んで頂けると嬉しいです

それではまた!

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