初めまして
今回は映画「ロッキー」についてネタバレありの解説を行っていきたいと思います、記事の内容をまとめる内に長くなってしまったので今回は前後半二つの記事に分けたいと思います、なので今回の記事では「ロッキー」の前半部分までを解説していきます
この記事を読めば「ロッキー」の脚本がいかに優れているかやどのような構成で作られているかが分かるようになっています、またこの作品の表向きの主人公はロッキーですが実はタイトルにもある通り脚本上での主人公は別の人物です、なので本当の主人公が誰なのかについても二回に分けて解説していきます
またこの記事では少し専門的な知識を用いる場面があり少し難しく感じるかもしれませんがそのつど説明しますのでご安心ください
それでは早速解説を始めたいと思います、以下ネタバレありです
三幕構成
「ロッキー」の脚本の具体的な解説に入る前に本作の脚本の構成で使われている三幕構成について説明したいと思います
この三幕構成を理解すれば「ロッキー」だけでなくほとんどのハリウッド映画のストーリーを理解しやすくなると思います、なぜならハリウッドの大作映画の脚本は基本的にこの三幕構成を使っているからです
三幕構成とは何か

それでは三幕構成は具体的にどういうものか簡単に説明したいと思います
- 三幕構成とは
- ハリウッド脚本の基本フォーマットのことでお話を第一幕、第二幕、第三幕の三つの幕(パート)に分ける構成のことです
- それぞれの幕は(状況設定)(対立、葛藤)(解決)の役割があり三つの幕の割合はだいたい1:2:1(2時間の映画だと30分:60分:30分ぐらい)です
- 次の幕が始まる前にターニングポイントと呼ばれるイベントがあり、ここで主人公に大きな決断を迫りストーリーを異なる方向へ転換させる何かしらの出来事が起きます
以上が三幕構成はの説明です、なんとなく分かって頂けましたか?
三幕構成についてはさらに詳しくまとめたページを作ったので、興味のある方は以下のリンクをクリックして読んでみてくださいね
ではいよいよ「ロッキー」の脚本をこの三幕構成に当てはめながら解説していきたいと思います
第一幕
まずは第一幕から始めたいと思います、先ほどの説明にもある通り第一幕では状況設定が紹介され本筋のストーリーが始まる下地が作られます
必須情報の紹介

それでは具体的にどんな情報が紹介されるのかを一覧表にまとめてみましょう
- 主人公ロッキーは30歳で賭けボクシングやマフィアの取り立てをやって生計を立てているごろつきだが正義感があって根はやさしい人物、貧乏でボクサーとしてなかなか日の目を浴びず落ちぶれた人生を送っている
- 舞台となるのはフィラデルフィアで町はさびれた様子で人々も何処となく活気がない
- ロッキーはペットショップで働くエイドリアンという内気な女性に好意を持っている
- ミッキーはロッキーが通うジムのトレーナーのおじいちゃんでロッキーに対して当たりがきつい
- ポーリーはエイドリアンの兄で性格が悪く妹の事も馬鹿にしているがロッキーとは友達、ロッキーにマフィアの取り立ての仕事を紹介してもらいたがっているがロッキーは紹介したくない様子
- ボクシングの世界チャンピオンアポロ・クリードは建国200年記念に試合をする予定 など
映画ではここまでがだいたい20分ほどです、これらの情報が紹介された事で登場人物が抱えてる悩みとそれらがこれから段々と解決されていくであろうという今後のストーリーの流れがなんとなく見えてきたかと思います
ちなみに第一幕ではロッキーが夜の街を歩いているシーンが何度も出てきますがこれらにはいくつか重要なシーンがあります
その一つがロッキーが少女に不良とつるんでたら恋人ができないぞと説教する場面などです、それについてはまた後で解説したいと思います
鏡の演出
ところで冒頭でロッキーが自分の幼いころの写真を見ながら鏡に映った自分と向き合うシーンがありますが、このシーンは演出的によくできているので解説したいと思います
実はこの場面以外にも鏡と向き合うシーンがある人が他にも二人います
一人はエイドリアンでロッキーと初めてデートに出かけるシーンで同じように向き合います、二人目はポーリーですしかし彼は鏡を見ようとしますが割れていて見れません、なので割ったやつにキレています、この鏡のシーンのそれぞれの違いがその後の運命を表しているかと思います
ロッキーとエイドリアンは自分と向き合う事で運命を切り開いていくわけですが、ポーリーは何かというと人のせいにして自分を改めようとしないのです
これらのシーンはそれぞれのキャラクターの性格や現状を表している良くできた演出だと思います
第一ターニングポイント

ここからは本当のストーリーが始まるきっかけとなる事件がえがかれます、それが先ほどの三幕構成の説明で紹介したターニングポイントです、この出来事をっきかけに主人公のストーリーが大きく動き出すわけですが「ロッキー」ではどの出来事がターニングポイントに当たるのかが非常に分かりにくいです、どういう事なのか順を追って説明しましょう
まずストーリーに大きい変化が起こる事件としてアポロ陣営がロッキーに対戦をオファーする場面を思い浮かべる方も多いと思います、ではそこに至るまでのストーリーの流れを簡単に振り返ってみましょう
- まずはアポロが対戦予定だったボクサーがトレーニング中の怪我で試合ができなくなってしまいます、その上代わりの対戦相手も見つかりそうにありません
- 困ったアポロ陣営は作戦変更、無名の選手に挑戦権を与えることで試合を盛り上げようとします
- その対戦相手に偶然にもロッキーが選ばれるというわけですね、その後ロッキーに試合のオファーが届くという流れです
一見するとここがターニングポイントに見えます、しかし映画を見てみると実際にロッキーがオファーを受けるのは映画が始まって一時間ほどたってからでストーリーの丁度真ん中あたりです、なので映画の前半では試合の件に関してロッキーは全く知らないままストーリーが進んでいきます
ターニングポイントの特徴として次の幕が始まる前にあることとその出来事をきっかけに次の幕のストーリーが動き出すというのがあります、ロッキーがオファーを受けるシーンはこのどちらにも当てはまりません
それでは本当のターニングポイントはどこか?、それはポーリーがエイドリアンを強引にロッキーとのデートに誘うシーンです
なぜここがターニングポイントだと分かるのかは第二幕の展開を見れば分かります、というわけでここから第二幕の解説に入りたいと思います
第二幕 前半
それでは第二幕の解説をしていきます、第二幕は前半と後半に大きく分けることができます、時間で表すと前半が30分~60分くらいで後半が60分~90分くらいでしょう
本当のターニングポイント

前後半で先ほどのターニングポイントと直接関係があるのは当然前半部分です、そしてこの前半部分で主にえがかれているのがロッキーが初めてエイドリアンとデートに行くシーンです
つまり第二幕の始まる直前にあり、なおかつ第二幕のストーリーが動き出すきっかけとなる出来事がポーリーがエイドリアンをロッキーとのデートに誘うシーンでありそこがターニングポイントと言えるわけです
ちなみにこの一連のシーンはエイドリアンの成長が見て取れる場面でもあります、それまでのエイドリアンはもう30歳になるのに男性経験もなく仕事の時以外ずっと家にこもっていたようでさらに内気で自分の意見もなかなか言えずに兄の言いなりのような状態でした、しかし半ば強引な流れとは言えこの場面で勇気を出してロッキーとデートをする決断をします
このエイドリアンの選択によりその後彼女の心は少しずつ解放されていきます
不良少女の伏線

このデートシーンの最後でロッキーとエイドリアンは結ばれるわけですが実はここで先ほどの不良少女に説教したシーンが思い出されます
その場面でロッキーは少女に対し不良とつるんでいると恋人ができないと注意しますが彼自身もマフィアの取り立ての仕事をしているごろつきでおまけに独り身です、要は人の事は全然言えないわけでおそらく本人もその事に気付ています、なので2回目は注意しませんでした、そして彼は自分はごろつきじゃないことを証明したいとも後のシーンで自ら告白しています
つまりこの場面ではロッキーに恋人ができたので少しずつごろつきではなくなり始めているという事も表していると思います
ここまでが映画のだいたい真ん中あたりまでのストーリーになります、残りの後半部分は次の記事で解説していきたいと思います
>>「ロッキー」ネタバレ解説 本当の主人公はロッキーではない(その2)
まとめ
今回は映画「ロッキー」の前半部分について解説していきました
解説(その2)では後半についての解説やタイトルにもある「ロッキー」の本当の主人公は誰なのかについて書いていきたいと思います、その記事も読んで頂けると嬉しいです
今回は最後まで読んで頂きありがとうございます
後半の記事も読んで頂けるととてもうれしいです
それではまた!
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