今回は現在公開中の劇場版『チェーンソーマン レゼ編』を見てきましたので感想や考察を書いていきたいと思います。
※この記事の内容はあくまで私個人の意見です、またネタバレありとなっていますのでご了承ください。
作品紹介
原作:藤本タツキ
監督:吉原達矢
キャスト:戸谷菊之介、上田麗奈、楠木ともり、坂田将吾、花江夏樹 他
上映時間:100分
あらすじ
「チェーンソーの悪魔」と契約し「チェーンソーマン」となり公安のデビルハンターに所属するデンジは、憧れのマキマとのデートに浮かれる中、雨宿りしていると謎の少女レゼと出会う。
監視されてるデンジについて
この映画のテーマの一つに監視するものとされるものの関係があると思います。なぜならデンジは台風の悪魔やマキマにずっと監視されているからです。
そして二人の内のどちらかが監視している場面では、それが演出で分かるようになっていると思われます。
台風の悪魔
まず台風の悪魔が見ている場面では、上空からの見下ろすようなアングルが使われています。
なぜならレゼが台風の悪魔と話す場面など、姿は出ていなくても台風の悪魔が近くにいるであろうシーンは、上空から見下ろすようなアングルが多いからです。
また台風は上空で発生する事もこのようなアングルになっている理由かと思われます。
ちなみにデンジは電話ボックスで雨宿りしている時に初めてレゼと出会いますが、雨が降り始める時に原作にはない上空から見下ろすようなアングルの場面があります。
もしかしたら劇場版では、この場面は実は台風の悪魔が雨を降らしてレゼがデンジに接近しやすいよう手助けしていた、というふうな解釈を加えているのかもしれません。
マキマ
次にマキマですが、彼女が監視している時は、画面の真ん中に円状の物が大きく描かれている時だと思います。
そう思う根拠は映画冒頭のオープニングムービーに描かれています。
オープニングでは目玉焼きや換気扇など円状の物が画面の中央に大きく描かれるシーンが何度も出てきています、そしてオープニングの最後に最も印象的に現れる円状の物がマキマの目です。
つまり画面の中央にある円はマキマの目を表しており、映画全体通して円状の物が描かれているシーンはマキマが監視している事を表しているのではないかと考えました。
実際なぜかマキマは、デンジとレゼが夜の学校で田舎のネズミと都会のネズミの話をしていた事を知っていたり、レゼが働いているカフェの場所も知っています。そして夜の学校やカフェでの会話の場面でも画面の中央に円状の物が描かれる演出があります。
またオープニングにはそれ以外にもマキマがデンジ達を監視している事を表している演出があると考えています。それらを紹介しましょう。
オープニングムービーについて
オープニングではマキマとデンジ達アキのアパートに住むメンバーのモーニングルーティーンと出勤中の様子が描かれます。この何気ない日常を描いているように見えるシーンにもマキマが監視している事が分かる描写があります。
まずそもそもマキマはどうやってデンジ達を監視しているかですが、実はマキマは自身の能力で小動物を支配し盗聴する事が出来ると原作で明言されています。
そしてオープニングで通勤中のデンジ達を鳥やネズミなどの小動物が見ているカットがいくつもあります、これはデンジ達がマキマに監視されている事を表していると思われます。
またデンジ達を俯瞰ショットで映しているのとは対照的に、マキマは一人称視点のアングルが多い上に、彼女だけほとんど顔が出てきません。
つまりこれはマキマは常に監視している側であり、顔が見えないのは逆にマキマは誰にも監視されていない事を表していると考えられます。
またオープニングでは他にも白黒映像でデンジが馬に乗っている場面が一瞬登場しますが、このシーンは全ての映画の基礎になったとも言われる「動く馬」がモデルだと思われます。
やはりこれもデンジが見られる側である事を暗示している演出なのでしょう。
ちなみにジョーダン・ピール監督の『NOPE』(ノープ)という作品にもこの「動く馬」が出てきますが、『NOPE』(ノープ)も見るものと見られるものの関係がテーマの映画です。
マキマとデンジの映画デートについて
序盤でデンジがマキマと映画デートに行く場面がありますが、二人が最後に見た映画は1959年のソ連映画「誓いの休暇」がモデルであろうと言われています。
この「誓いの休暇」の内容を簡単に紹介すると
若い兵士アリョーシャは戦場で武勲を立て特別に6日間の休暇もらう。そこでアリョーシャは母に会いに帰郷する事を決意する。しかし道中人助けに多くの時間を割いてしまい母に会える時間はごくわずかとなってしまった。ついに故郷の村にたどり着いたアリョーシャは再会した母と抱き合い「必ず帰ってくるよ、ママ」と言い残しまた戦場へと向かって行った。しかし、戦争が終わってもアリョーシャは戻ってこなかった。年老いた母は今日もまた帰らぬ息子を待ちわびる。
というストーリーです。
では何故「誓いの休暇」をモデルにしたような映画が登場するのでしょうか。
理由は二つ考えられます。
一つはどちらもソ連が関係する作品だからである事。もう一つはどちらも大切な人を待ち続けるがその人は死んでしまって戻ってこない話である事だと思われます。
なのでデンジがマキマと映画を見るシーンはストーリーの後の展開を暗示しているの場面なのではないでしょうか。
プールのシーンの演出について
この映画で夜の学校に忍び込んだレゼとデンジがプールで泳ぐ場面がありますが、デンジがプールに飛び込むシーンで原作にはない蝶が蜘蛛に捕らえられるカットが入ります。
このシーンはおそらくデンジがレゼに誘惑され罠にかかってしまった事を表していると思われます。
しかしなぜわざわざそんなカットを追加したのか、それは後半のあるシーンを見ると分かります。
そのシーンとは戦闘シーンのクライマックスでデンジとレゼが一緒に海に飛び込む場面です。この場面でデンジはレゼにチェンソーのチェーンを巻き付け動けない状態にして飛び込みます。
おそらく蜘蛛が蝶を糸で捕らえている描写はこの場面と対になっていると考えられます。
つまり原作にはなっかた蜘蛛のカットを入れた事で、デンジとレゼの形勢が入れ替わった事や、デンジを誘惑するつもりがいつの間にか本当にデンジを好きになってしまっていた事を、強調しようとしたのではないかと思いました。
レゼの死について
ラストシーンでレゼはマキマに見つかりころされてしまいますが、その時レゼの血によって円状の血だまりが出来ます。この演出には様々な意味が込められていると感じました。
日の丸
一つは日の丸を表している事です。この映画はオープニング後の最初のカットで日本の国旗が登場します。そしてラストのレゼの血だまりも赤い丸になっています。
つまりこの描写はマキマが血で日の丸を描いているシーンともとる事もでき、これは今後マキマが日本で行おうとしている事を暗示しているのではないかと考えました。
赤いガーベラ
もう一つは血だまりと赤い花を対比として描いている事です。
ラストシーンでレゼは赤いガーベラの花を持っています。
ガーベラという花は色によって花言葉が変わり、赤いガーベラの花言葉は「神秘の愛、チャレンジ、限りない挑戦」です。
またガーベラは本数によっても花言葉が変わるのですが、ガーベラが一本だけの時には「一目ぼれ、あなたが私の運命の人」という意味を持ちます。
なのでラストシーンはレゼが心に抱いていた、デンジへの愛やデンジと二人で逃避行に挑もうとする思いが死によって塗りつぶされてしまった事を表現しているのではないかと思います。
ちなみにレゼはデンジと初めて出会ったとき白いガーベラの花をもらいますが。白のガーベラには「希望、律儀、純潔」という花言葉があります。


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