今回は『プレデター:バッドランド』を観てきましたので感想や解説を書いていきたいと思います。
※この記事の内容はあくまで私個人の意見です、またネタバレありとなっていますのでご了承ください。
作品紹介
監督:ダン・トラクテンバーグ
キャスト:エル・ファニング/ディミトリウス・コロアマタンギ
あらすじ
誇り高き戦闘一族から追放され、宇宙一危険な「最悪の地(バッドランド)」に辿り着いた若き戦士・デク。次々と敵に襲われる彼の前に現れたのは、上半身しかないアンドロイド・ティア。「狩り」に協力すると陽気に申し出る彼女には、ある目的があって――。
引用元:20th Century Studios JP
実はこれまでのテンプレートを踏襲している最新作
プレデターバッドランドはこれまで敵だったプレデターが主人公だったり、プレデターの弱さを描いていたりと、これまでのプレデターシリーズからの路線変更が目立ちます。
しかしよく観ると意外とこれまでのシリーズのテンプレートをしっかり踏襲している作品に仕上がっています。その辺りを解説していきましょう。
これまでのシリーズとの共通点
これまでのプレデターシリーズでは前半と後半で映画のジャンルが変わったり、ストーリ上の目的が180度変わったりする構造の作品が多いです。
例えば一作目では前半はジャングルを舞台にした戦争映画の様な内容ですが、後半ではスプラッターホラー映画になり映画のジャンルががらっと変わります。
今作バッドランドでも同じような構造になっていて、前半はヤウージャ族(プレデター)のデクが不死身の怪物カリスクを狩りに行く話だったはずが、後半はデクがアンドロイド達からカリスクを助ける物語になっていきます。
また構造は同じでも人類側とプレデターの立場が真逆になっている部分もあります。それについても紹介しましょう。
これまでとは立場が真逆
プレデター一作目は軍事作戦から帰還途中の小隊が、プレデターの標的になってしまった事で、人間対プレデターの戦闘に発展していくというストーリーでした。
そして今作バッドランドは、ヤウージャ族のデクが成人の儀式でカリスクを狩るためにゲンナ星へ向かう所からストーリーは始まりますが、同じくカリスクを狙うウェイランドユタニ社のアンドロイドにデクが捕らわれた事で、いつの間にかアンドロイド達との戦闘に発展していくというストーリーになっています。
このように一作目と今作のストーリーを見比べて見ると、ストーリー自体は同じような構造になっていますが、人類側とプレデター側の立場が逆になっている事が分かると思います。
また人類側とプレデター側の立場が過去作と逆になっている部分は他にもあります。それは自然対テクノロジーの対立構造についてです。
本作でデクは持ってきた武器のほぼ全てを戦闘で失ってしまったので、クライマックスの戦闘でバッドランドに生息する様々な植物や動物の一部などを武器にして戦います。
それに対して今作の敵役であるウェイランドユタニ社のアンドロイド達は、銃やパワーローダーなど最新鋭の武器や盗んできたプレデターの武器などで戦います。
一作目で最もカタルシスを感じるポイントとして、人類よりはるかに進んだテクノロジーを持つ宇宙人相手に、知恵と自然の力で勝つ所にあると思います。
その構造を今作でも取り入れていますが、ここでもやはり人類側とプレデターの立場が真逆になっています。
このように今作は過去作の構造を使う事でシリーズの伝統をしっかり受け継いでいる事が分かったと思います。しかしそれだけでなく過去作にはない新しい部分もありますので、それについても解説したいと思います。
弱者を排除しようとする社会に反抗する物語
今作の主人公デクはヤウージャ族の中では戦闘能力が低く弱い個体であるが故に、父親に一族には不要と考えられ始末されそうになります。そこを兄であるクウェイに助けられますが、代わりにクウェイはころされてしまいます。
またアンドロイドのティアにはテッサという姉妹の様な存在のアンドロイドがおり、テッサはティアと同じく感情を与えられていたため、元々は感受性が豊かでした。
しかしテッサはティアがカリスクに襲われた時に愛情から彼女を助けるのですが、そのせいで任務が失敗しかけた事を危惧した人工知能マザーに発破をかけられた事で、感情ではなく任務優先で論理的に行動するようになります。
そのため感受性が強くその上故障しているティアは、テッサと再会した際任務に不要と判断され処分されそうになってしまいます。
このようにデクとティアそれぞれの境遇をまとめてみると、二人はストーリー上で意図的に似た境遇に置かれている事が分かります。
どちらも兄弟に助けられ、親や親にあたる存在のせいで能力が低い事を理由に排除されようとしています。
そしてどちらも自身を排除しようとする組織や社会に反抗し打ち勝つ事で自分の居場所を見つける物語になっています。
またこの映画は序盤にデクが兄弟のクウェイに助けられるも死別してしまうシーンがありますが、クライマックスでは逆にティアが姉妹の様な存在のテッサと対立し、最終的にテッサを破壊するシーンで終わります。
『プレデター:バッドランド』はこのように序盤とクライマックスのシーンが対になる様に構成されており、映画の全体の構成が非常によく計算されていると感じました。

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